柔道家・谷亮子選手は
相手の怪我をしているところを攻めてあげるのが、相手に対する優しさです
という名言を残しています。
ネットでは、この言葉についていろいろな見解が書かれています。
しかし、格闘技を経験していない人が想像だけで書いたような記事も多く、谷亮子選手自身が、この言葉の真意を語っているわけではありません。
怪我をした方が悪いので、攻める方は、負傷箇所を攻めるのが当然であり、負傷箇所を攻めないことは、手加減されているのと同じだから。
そんな読み方をしている記事が多いですが、おおよそ間違ってはいないと思います。
もう少し考えを深めて、攻められる方の立場に立つと、こんな考え方もできるかもしれません。
負傷箇所を攻められたことにより、負けた原因を実力のせいではなく、負傷のせいにできるから。
それは、負けた選手が他人に言い訳をするためではありません。
「負傷で負けたんだから仕方がない」と、次の試合に頭を切り替えやすくするためです。
相手の温情により、負傷箇所を攻められなかったにも関わらず負けてしまえば、それはもう、どんな言い訳もできないわけですからね。
私自身も、試合前の練習で怪我をし、試合15分前に負傷箇所に麻酔を注射して試合をしたことがあります。
それでも、その負傷箇所は触れられただけで飛び上がるほど痛かったので、麻酔の効果はほとんどありませんでした。
結果、試合は負けたのですが、あの負傷がなかったら・・・と、あの時は思いました。
その負傷を自分の中の言い訳にして、次の試合は万全な体調で頑張ろう!と気持ちを切り替えることができたのです。
今考えると、当時の自分の実力では体調が万全であっても、あの時の相手選手には勝てなかったと思いますが。
試合は、一人ではできません。
自分が負傷欠場してしまったら、相手選手は、試合ができなくなってしまいます。
自分の応援に来てくれた人たちにはもちろん、相手選手の応援に来てくれた人たちにも迷惑がかかることになります。
格闘技なので、練習中に怪我をする可能性も充分にあります。
本当に「怪我で試合ができない」のなら仕方がありません。
でも、「怪我をして不利だから試合をやめる」のは、ちょっと考えものです。
リングで闘う数分間だけが試合ではなく、対戦相手が決まったその時から、試合が始まっていると思うくらいの覚悟がほしいと思います。
そういう意味では、体重オーバーで失格なんていうのは、格闘技をやる資格が無いですね。