総合格闘技、キックボクシング、空手、柔道などなど・・・
格闘技の試合は、相手と一対一で向かい合い、勝敗を決めます。
何のために、そんなことをするのでしょうか。
この問いを選手にぶつけたとき、それにどう答えるかによって、試合場でのその選手の態度が決まってくるのだと思います。
「多くの人の前で、自分の強さを誇示するため」
そう答える選手は、試合の前にも後にも、相手選手に礼をしたり、健闘を讃えたりすることはないでしょう。
試合に負ければ不貞腐れた態度で試合場を後にします。
そして、試合を見ている多くの人は、その選手のそんなに不快な思いをするでしょう。
試合は、相手の体を借りて自分を試させてもらうもの
試合とは、自分がどれほど強くなったのかを試すものだと思います。
それを試すために、相手の肉体を借りるのです。
相手選手の体で、自分の進歩を試させてもらう。
そう考えて欲しいと思います。
だから、試合の前には、「お願いします」という気持ちで試合に臨む。
試合の後には、「ありがとうございました」という気持ちで試合場を去る。
試合の前に、相手を挑発するのは、イベントを盛り上げるためのパフォーマンスとして有りかもしれません。
相手を挑発する姿を見て、盛り上がる観客もいるでしょう。
でも、それを見て、あまりいい気持ちがしない観客も多いと思います。
良識のある観客には、試合をする選手が、強がれば強がるほど、試合を怖がってるんだなということが分かってしまいます。
試合が終わっても相手を称えることが出来ない選手は、自分のことしか考えられない視野の狭い人間なんだなと見られてしまいます。
見ている方向によって同じ練習をしても全く異なる結果になる
自分が強いと思っている人は、下を見ている人です。
下を見れば、自分より弱い選手ばかりですから。
それでも練習するのは、敗けて惨めな思いをするのが怖いからでしょう。
上を見れば、強い選手はいくらでもいます。
そんな強い選手たちとスパーリングをすれば、いかに自分が弱いかを思い知らされるでしょう。
だから、強い選手に少しでも追いつこうと必死になって練習するのです。
同じように必死になって汗を流しているのですが、内面は全く異なります。
下を見て練習している選手は、負けると自分を否定されたような気持ちになります。
そして、2~3回も負けが続けば、競技そのものから離れていきます。
上を見て練習している選手は、負けると、やっぱり自分は弱かったんだ!と再認識するだけです。
負けたことに感謝すらします。
そして、負けた原因を追求し、改善し、どんどん強くなることができます。
殴り合いが他人よりも強いか弱いかなんて、世間的には大したことではありません。
大切なのは、自分の気持を鍛え、昨日の自分よりも精神的に進歩すること。
格闘技を通して、人間的に成長することです。
そう考えることができれば、肉体が衰えていく年令になっても、格闘技を続けていくことができるんじゃないでしょうか?
OKファイトサークルでは、キックボクシングを通して、そんなことを伝えられたら良いなと、そう思います。
いつもお世話になっております(ほんとうに)。
このエッセイの後半部分に特に共感しました。
ので、ちょっと書き込みさせていただこうと思いました。
私が始めたきっかけは何だったのか、今やはっきりとしませんが、やっぱり「強くなりたい」というのもあったのではないかと思います。
ただ単に「強さ」という部分で考えますと、私のような小柄で56歳というのは絶望的ですね。どうあがいたって大きな人には勝てませんし、10代20代の人に比べて伸びしろはほとんどありません。
強さを求める、ということでしたら「やっても無駄」といえるでしょう。
でも続けているのは、このエッセイにも書かれていた他人との比較ではない、自分の内面のためなんだろうと思います。
久保様
コメント、ありがとうございます。
仰るとおりですね。
強いか弱いかなんて、相対的なものでしかありませんから。
ただ、私は今、52歳ですが、伸びしろなんて無限にあると思って練習していますよ。
そうでなければ、練習がつまらなくなっちゃいますから。
お互いに頑張りましょう。