初心者を指導する

OKファイトサークルには、完全な初心者から、かなりの経験者までいろいろな人が練習に来てくれます。

もちろん、初心者に対する教え方と経験者に対する教え方は異なります。

練習生が、キックボクシングを楽しむように、指導する方は教えることを楽しんでいます。

今日と明日は、教え方について、考えてみたいと思います。

今日は、初心者編です。

初心者に教えるときは様々なバリエーションが必要

完全な初心者には、最初から1つずつ教えていきます。

しかし、体の柔軟性、身体操作の上手さ、理解力、勘の良さなどなど、様々な要素に差があるため、進歩にも差がでてしまいます。

それは、当然のことですし、それで一向に構いません。

できないからダメ・・・なのではなく、できないなら、何度も同じ内容の説明をします。

説明する言葉が同じだと、言われた方も、同じことを言われていることに気付き、申し訳ない気持ちにさせてしまうので、言葉を変えたり、角度を変えたりもしてみます。

例えば、左ジャブを打つときに右手が下がってしまう人。

一回目は、「右手は、ちゃんと上げておきましょう。」

二回目は、「それだとカウンターで相手のパンチをもらうよ。」

三回目は、「ジャブの相打ちになったら、自分だけ不利だよ。」

ジャブ1つでも、様々な言い方があります。

これが蹴りだったり、コンビネーションだったりすれば、言い方は無限にありそうです。

とにかく、指導するほうが諦めずに、一つのことをどれだけ異なる角度で教えられるか。

そして、ある角度から教えた瞬間に、動きがガラリと変わることがあります。

練習生が、「ああ、そういうことなんだ!」と納得する瞬間です。

 

わたし自身、練習生として同じような経験があります。

それまで、言われても言われても直らなかった、体が正面を向いてしまう癖。

前蹴りを蹴られやすく、なかなか間合いを詰められないことがありました。

「体が正面を向いているから、もっと斜めに構えた方がいい。」

そう言われ、意識をするのですが、スパーリングになると、左右の蹴りを速く出したいために、どうしても体が正面を向いてしまいます。

この癖は、色々な人に十数年間言われ続けましたが、治りませんでした。

 

ところがある日、あるトレーナーにこう言われました。

「前にある左手で体の中心を守るようにしてみてください」

左手を体の中心に移動させれば、体はどうしても斜めになります。

しかも、ディフェンスも固くなります。

この一言が、長い間直らなかった癖を、一瞬で直してくれました。

 

指導をするって、そういうことなんです。

一方向だけから、同じ言葉で言っても、直らない人は直りません。

それなら、別の方向から教えてみる。

指導者は、そんな試行錯誤が、指導することの楽しみにもなると思います。

 

明日は、経験者に教えるときの「アドオン方式」を書いてみます。