sparring

「スパーリングの時、相手のどこを見たらいいのでしょうか?」

そんな質問を受けることがあります。

「目を見れば、目のフェイントに騙されることがあるので、相手の喉から胸の辺りに視線を向けていましょう。」

初心者の方には、そんな答え方をします。

ところが、視線というのは相手との駆け引きに利用するアイテムの一つです。

つまり、視線の位置は「その時の目的に合わせて変化させる」ということになります。

相手のボディに視線を移してパンチで顔面を狙ったり、相手の足元に視線を移してハイキックを狙ったりというのも、定番のフェイントですね。

また、相手の目を正面からしっかりと見据えて、プレッシャーをかけていくということも有効です。

わざと、視線を横にずらして、相手の意表をつくようなトリッキーな視線の使い方もあります。

最初の質問「相手のどこを見ればいいのか?」というのは、相手の攻撃を察知するためには、どこに視線を向けたらいいのか?ということだと思うのですが、これ、実はちょっと的外れな質問なのですね。

相手のどこを見ていても、相手の攻撃に反応できない人はできません。

反対に、反応できる人は、相手の姿が視線の片隅にでも入っていれば充分です。

反応できるかできないかは、視線の位置とは関係ないのです。

初心者のうちは、相手の動きを目で追ってしまいます。

動きを目で追ってしまうと、目の動きが追いつかないような素早いコンビネーションを使われた場合、攻撃をもらってしまいます。

もう少し慣れてくると、相手の動き全体からどこにどんな攻撃が来るのかが分かるようになってきます。

そう。。。どこに攻撃が来るのかが「見える」のではなく、「分かる」のです。

プロのチャンピオンクラスになると、こちらがハイキックを出そうと思った瞬間に、頭部をガードされてしまいます。

もちろん、思った瞬間に体のどこかが微妙に動き、その動きを察知されるから反応されるのでしょう。

その察知能力を鍛えるには、スパーリングを多くこなすしかありません。

最初は、当てるか当てない程度の軽いスパーリングで構いません。

とにかく、数多くのスパーリングを行なっていけば、徐々にパンチや蹴りの出る瞬間の気配のようなものを察知できるようになってきます。