試合中やスパーリングの最中、「足を使って動き続けろ!止まるな!」というアドバイスを聞くことがあります。
確かに、常に動き続ければ、最初のうちは相手の攻撃をもらう確率を下げることができます。
ところが、同じパターンで動いてしまうと動く意味がなくなってきます。
足の運び、リズム、攻撃するタイミング、離れるときの間合い。
そういったものが、同じパターンで繰り返されていると、相手はそのパターンを読んでしまいます。
すると、動いていても、それは止まっているのと同じことになり、無駄にスタミナを浪費するだけです。
動くなら、パターンを変化させることが必要です。
3分3ラウンド、2分2ラウンドの試合なら、少なくとも、その試合の間は相手に動きを読まれないだけの動きのパターンを持ちましょう。
そのためには、シャドーの時からステップのパターン、コンビネーションのパターンを増やすことを意識します。
例えば、ワンツー・フック・ローという基本的なコンビネーションでさえ、リズムを変えるだけで、相手は全く違う動きをしなければならなくなることがあります。
しっかりディフェンスをされて、まったくダメージを与えられていないにも関わらず、何度も何度も同じパターンで攻撃する選手がいます。
そんな選手は、3回、4回と同じパターンを繰り返すことによって、徐々に反撃され始めます。
それでも、自分の攻撃パターンが読まれ始めていると思わないのか、更に同じパターンを繰り返しているうちに、相手の反撃が完全に優勢になってしまいます。
「試合では練習したことしか出ない。」
そういう考え方もありますが、試合中であっても、常に考えながら、自分の中で新しいパターンを見つけることだってできます。
つまり、私がアドバイスするとしたら・・・
「足を止めるな!」ではなく、「思考を止めるな!」です。
左ミドルだけで、相手を蹴り倒して勝つようなイメージのあるサムゴー選手でさえ、その技は非常に多彩です。
徐々に徐々に追い詰めていき、最後は逃げ場のないところまで追い詰める、その試合運びはとても参考になります。