強くなるための考え方

「キックボクシングが強くなるには、何をしたらいいですか?」

この質問を二人の世界チャンピオンにぶつけたことがあります。

一人目は、私が以前所属していた道場が排出した

WPMF世界ミドル級チャンピオン 清水貴彦選手です。

 

「一日のうちで、キックのことを考える時間をどれだけ持つかです。」

 

これを聞いた時、もう少し具体的な練習方法なんかが聞けると思ったので、少しがっかりした記憶があります。

しかし、この言葉を「なるほど!」と実感できたのは、ナイスミドルのチャンピオンになった後です。

 

ナイスミドルでローッキーさんの試合を見て、彼が腰に巻くベルトを自分のモノにすると決心しました。

それからは、朝から晩まで、暇さえあればキックのことばかり考えていました。

毎晩道場に行き、誰も来ていない道場で、2時間黙々と筋トレ、シャドー、サンドバッグを繰り返していました。

約一年間を経て、やっとベルトに挑戦できるチャンスが来ましたが、その一年間、頭にあるのはキックのことばかりでした。

 

ベルトを手にして、清水選手の言葉をやっと実感することができました。

強くなるって、そういうことなんだと。

別の言い方をすれば、「どこまで他のことを犠牲にできるのか?」ですね。

 

何かを得るには、何かを捨てなければならない。

キックに限らず、何に対しても言えることだと思います。

 

キックを通じて人生の勉強をさせてもらった、とても貴重な体験でした。