オーソドックスの構えから左ミドルを蹴るとき、スイッチをすることが多いです。
このスイッチ、何のためにするのか、考えたことはありますか?
色々な人にこの質問を投げかけましたが、「何のためだろう?」と首を傾げる人が少なくありません。
威力を増すため?
確かに、構えたところからノーモーションで左ミドルを蹴るよりも威力は増しますね。
でも、それなら、右足で一歩踏み込んでから蹴ったほうが、威力は増すのではないでしょうか?
フェイントの役目?
スイッチのミドルを見たことのない人に対してはフェイントになるかもしれません。
でも、スパーリングに慣れた人には、フェイントの意味なんて全くありませんよね。
スイッチの左ミドルに関して、私は距離の微調整だと考えています。
右足を踏み込んでしまうと近くなりすぎるけど、そのまま蹴るには遠すぎる。
そんな少し遠い間合いから蹴りたいときにスイッチで、間合いを詰めます。
逆に、パンチを打った直後など、強い蹴りを当てるには間合いが少し近すぎるとき。
パンチで相手のガードが上がりボディが空いている、その隙間を狙って蹴りたい。
間合いが近すぎるからと、バックステップしていたら相手のガードは元に戻ってしまいます。
だから、素早いスイッチで間合いを離しながら蹴ります。
スイッチを「自分のポジションを微妙に前後にずらすため」と捉えると、ミット練習も変わってきます。
蹴りやすい距離でミットを構えるだけでなく、微妙に距離をずらしてみてください。
スイッチの練習1
ミットを持つ人は、少し遠い位置でミットを構えます。
そこに素早いスイッチで、間合いを詰めて左ミドルを蹴ります。
スイッチの練習2
ミットを持つ人は、少し近すぎる位置でミットを構えます。
そこに素早いスイッチで、間合いを離して左ミドルを蹴ります。
スイッチの練習3
ミットの持ち手が、前に出た瞬間に、スイッチで間合いを離して蹴り、後ろに下がった瞬間に、スイッチで間合いを詰めて蹴ります。
このとき注意して欲しいのは、ミットの持ち手は、蹴りの動作が始まってから動いてはいけません。
ミットの持ち手が距離を離し、止まる。
そこに、スイッチで間合いを詰めて蹴る。
ミットの持ち手が距離つ縮めて、止まる。
そこに、スイッチで間合いを離して蹴る。
ミットの持ち手は、距離を変化させたら、ピタリと止まることを意識して、蹴るほうが思い切り蹴れるようにして下さい。
スイッチの練習4
ミットの持ち手も、自由にフットワークを使って、スパーリングのような感じで動きます。
蹴る方は、スイッチで間合いが取れるタイミングを見つけて蹴り込みます。
この練習は、縁の固いキックミットで行うと足首や足の甲を痛めやすいので、縁の柔らかいミットやパンチングミットで行うとよいでしょう。
また、双方が16オンスのグローブと脛当てを付けて、フットワークを使いながら、交互に蹴り合うのもオススメです。
このように、「この動きは何のためにするんだろう?」と考えると、練習方法も変わってきます。
みんながやっているから、なんとなくやっている。
指導者に言われたから、ただそのままやっている。
それでは、いつまで経っても、他のみんなと同じです。
他の人よりも強くなりたければ、他の人が考えていないことを考え、他の人が意識していないことを意識することが必要です。