前回の記事「グローブを武器にするという考え方」では、パンチの練習として、グローブの一部分で相手の目を狙うということを書きました。
それに対し、ある選手から「なぜ目じゃないとダメなのか?額や鼻や口ではダメなのか?」という質問を頂きました。
これについて、回答の意味で記事にしてみます。
例えば、額を狙ってパンチを打つ時、相手にダメージを与えようと思えば、かなり強めに攻撃をしなければ、意味がありません。
軽いパンチが額にあたっても、なんのダメージも与えられないからです。
ところが、目に当たれば、軽く触れただけでも、かなりの痛みを感じます。
ましてや、グローブの角ばったところが目に当たれば、暫くの間、目が開けない状態になります。
ということは、パンチを打つ方にとっては強く打たなくても、相手の目にグローブを触れさせるだけでいいわけです。
この「触れるように打つ」ということが、初心者にはとても意味のある練習になります。
力を抜いて、予備動作がなく、真っ直ぐに拳を走らせる。
これって、何年もキックボクシングをやっている選手たちの中でも、できている人は多くありません。
パンチを練習するなら、パンチ力を強化することも大切ですが、それ以上に、当たるパンチとはどんなパンチかを考えることも大切です。
どんなにパンチ力があっても、当たらなければ、打っていないのと同じですから。
それなら、相手の目に触れるようなパンチを、まずは意識してください。
それができたら、今度は、触れた瞬間に拳を握りこみ、そのまま拳をねじり込むように打ち抜きます。
これが、KOできるパンチになってくるわけです。
ほとんどの選手は、最初から相手の顔を強いパンチで打ち抜こうと思って練習しています。
だから、せっかくの強いパンチが当たらないのです。
相手の顔に触れられないのに、強いパンチが当たるはずがありません。
まずは、相手の顔に触れる練習をしてみてください。
そのために、目を狙うように打つ。
そんな意味で書いたのが、昨日の記事だったのです。